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チーム力を高める―これからの成長の源は「掛け算」のチームワーク―

【対談記事-Talk-】

NECグループのBPO事業やコンタクトセンター、営業DXなどのアウトソーシング業務を担う当社は、一人ひとりの優秀な社員の活躍で多くの顧客の厚い信頼を得てきました。一方で、社員の能力を掛け合わせた「チームの総合力の発揮」という面では、いろいろと課題がありそうです。

今回は、取締役執行役員 住矢 行夫(すみや ゆきお)さんと、第一事業運営本部 BPOソリューション第一部 3グループ 課長 川村 紘治(かわむら こうじ)さん(以下敬称略)に登壇いただき、NEC VALWAYの優れた個人を活かすチームワークについてお話していただきました。「チーム力を高める」をテーマに行われた対談の様子をお伝えします。

本記事に含まれるキーワード

話し手

住矢 行夫 さん

取締役執行役員

第一事業運営本部
BPOソリューション第一部 3グループ
課長

川村 紘治 さん

1. 最初の接点はトラブルシューティング

住矢:川村さんと、こうしてじっくりお話するのは、大きなトラブルシューティング以来ですね。

川村:はい、その節はサポート頂きありがとうございました。お客様からクレームのお電話を頂き、私が対応している時でした。「役員を出してくれ」と言われた時には、冷や汗をかいていて…。ふと振り返ったら住矢さんが立っていらっしゃった。「これ幸い」と、すぐさま相談にのっていただきました(笑)

住矢:そうでしたね。結構ハードで、解決まで時間がかかりましたが、私にとっても貴重な経験でした。その時に、川村さんが誠実にトラブル対応を行っていたことや、責任感を持ちながら仕事に向き合う姿勢を拝見していて、対談したいと思いお声がけしました。

川村:ありがとうございます。長期に渡るトラブル対応の修羅場をご一緒させていただいたということで(笑)。本日はよろしくお願いいたします。

住矢:よろしくお願いします。さて、川村さんは今年、課長に昇進されましたが、どのような業務を担当されているのか教えてください。

川村:はい、4月に課長職を拝命しました。現在は第一事業運営本部 BPOソリューション第一部 3グループで約60名弱のメンバーと共に業務に従事しています。ミッションは大きく3つ、eラーニングを提供を取り扱うLMS事業、沖縄のヘルプデスク、BPO運営事業、人材開発サービス領域であり、バックオフィス事業の一端を担っています。

ちなみに、本日着用している「かりゆし」は、沖縄出張時のユニフォームです(笑) 

アロハシャツとは別物で、沖縄では正装でスーツと同じ扱いです!

2. チーム力を高めるのは足し算ではなく、掛け算思考

住矢:今回の対談のテーマを「チーム力を高める」としたのは、事業に関するテーマだと、その事業に関わる人だけへのメッセージになりがちなので、社員全員に伝わる共通の話題にしたいと思ったことが理由なのです。

NEC VALWAYの社員は一人ひとりの能力が高く、潜在的な力を持っていると思います。顧客満足度調査の結果を見ても、サービス品質ではお客様から高く評価されています。一方、経営の観点からお話しすると、プロジェクトの平均粗利率や営業利益率は決して高い数値とは言えません。

私は「能力が高い人材が揃っていながら、なぜ利益率が低いのだろうか。一人ひとりの能力が高くても、会社全体の総合力になっていないのでは?」と、考えていました。

川村:確かにそうですね。現場でチームを運営していると、1人ひとりの能力の高さを感じつつも、50%の能力を発揮する人もいれば、150%の能力を発揮する人もいます。「全員が100%、あるいは120%の能力を発揮できるようになれたら」と、思っています。そのためにチームポリシーやルール、役割設定など「チームそのものの底上げによる活躍の可能性を準備すること」を目指しています。

住矢:今回の対談にあたって「チームとは何か?」を改めて考えてみました。『チーム』と『グループ』を混同しがちですが、それぞれ意味が異なります。チームとは所属するメンバー全員が、共通の目的や目標に向けて協力し相互に補完し合う集合体であり、一方で、グループとは同じ空間に、ただ人が集まっている状態です。チームの効果は掛け算、グループは足し算と言っても良いかもしれないですね。

川村:住矢さんが仰るように、メンバーが補完しあう集合体は成果を出しやすいのではと思います。私はよく「ポテンヒット」という言葉を使います。ポテンヒットとは、内野と外野の間にポトンと落ちるような、もったいないヒットのことですが、日常に置き換えると誰が担当なのか責任が不明瞭で双方対応可能な仕事のことです。

人が複数いたら仕事の狭間が生まれてしまいます。誰からも拾われることがない仕事があることで、機会損失が起こったり、トラブルの発生の元になる。こうしたポテンヒットを、双方で拾いあう行動や精神が「優しさ」であると捉えており、そのうえで共通の目標をメンバーで共有し、お互いに補完し合うことが、”掛け算した後の何か”を生み出すきっかけだと思っています。

3. 強いチーム形成には触媒が必要

住矢:NEC VALWAYの社員の能力は私はとても高いと思っていますが、それに加えて組織的に能力の掛け算ができると、とてつもない力を発揮できるようになると思います。

一方で「チーム力を高める」と唱えているだけでは、チーム力はつきません。強いチーム作りの1つとして、触媒が大切だと思います。触媒とは化学反応を起こすもの。社員同士の化学反応には「場」づくりが必要ではないでしょうか。

川村:そうですね。普段から私が意識していることがあります。それは人と人をつなげていくこと。よくあるのが、Teamsを使ってAさんとBさんをつなげてあげる。でも、それだけではシナジーは発生しません。時間はかかりますが、双方の実感と成果が出るまで関わり続けること、それが触媒になることだと思います。

住矢:川村さんはチーム作りに当たって意識していることはありますか?

川村:はい、基本的にはメンバーをきちんとその人の良い行動や特徴を褒めるようにしています。たとえ思いがあっても、言葉にしないことには相手に伝わりませんし、良いものは良い、悪いものは悪いということが普通に言える文化にしたいと思っています。

あと、メンバーから相談をうけた時に、真正面から受け止めるようにしています。結論が不明瞭な玉虫色の回答で、判断を誤魔化さないこと。それが大切ではないでしょうか。これは当たり前に聞こえますがちゃんとやるとかなり難しいはずです。

さらに部下から相談や申請があった時は、迅速にレスポンスを返すようにしています。こうしたことの積み重ねが部下との信頼関係を築き、強いチームを作っていくのではないでしょうか。こうしたことを基本スタンスとしながら、実は週次でモヤモヤ会を行っているんですよ。

住矢:モヤモヤ会とはなんですか?(笑)

川村:言葉にできない思いを聴く会です。すでに完了した数字の報告やデータで伝えられることは見える化できます。一方で、メンバーが抱えている「モヤモヤ」はあくまで” もやもや”なんです。そのため上手に、伝えられないことが多く、個人の中で止まってしまうことが多いのです。だからこそメンバーは困っていて、そこに多くの問題に繋がるリスクと課題解決のヒントが隠れていると思っています。

他のメンバーがその” もやもや”を聞いて、課題の輪郭化を行います。話が深まると、” もやもや”って実はこういうことなんだね、と判明してきます。場合によっては解決策につながる。当然、話す勇気もいりますが、受け入れられたら心理的安全性の確保にもつながります。そんな時間をチームで設けています。

実はこれはBPRと同じ理屈だと思っているので、こうした取り組みが成長の助けになればと思っています。

4. 大変な時こそ真価を問われるチーム力

住矢:なるほど。そういう取り組みは非常にいいですね!そのような日々の営みが大きな力になっていくのだと思いますが、そのチームの本当の力が発揮されるのは有事の時ではないでしょうか。いわゆる危機に際して、火事場の馬鹿力を出すような状況です。そうした有事には、リーダーシップ力がもちろん重要ですが、メンバーがその能力や役割をよく理解し、それに応じて、且つ、他のメンバーと協力しながらしっかりと責務をこなす。それは、チームの中に、「メンバーの自主性の尊重と、それを互いに認め合う雰囲気」ができているからこそできるのだと思います

また、これからのチーム作りでは、管理者層のマインドセットを変えていくことも大切ではないでしょうか。チームリーダーのあり方も変化しています。チームリーダーは社員一人ひとりを尊重して、大切にする風土を醸成することが大切だと思っています。

私がよく話す言葉ですが、部下やチームメンバーは会社からの預かりものであって、上司の私有物ではありません。管理職の皆さんは、そのような意識で部下やチームメンバーに接していますか?その預かりものである部下やチームメンバーに動機付けし、その能力を最大限に発揮させて、成果を上げる。要するに、利子をつけて会社に返すのです。そして、そのプロセスを通じて、預かりものである部下やメンバーの成長の手助けをし、次世代につないでいく。それが会社の営みだと思っています。

川村:私としては、普段メンバーに言っているのですが自身も含めてメンバーが普通の生活を送れる状況を作っていきたいと思います。ここでいう普通の定義とは違和感のない状況です。仕事のやりがいや給与のことも含めて、家族や友人、社員のペットまで含めた生活の質を上げていくなど、極めて普遍的なことだと思います。

住矢:すごくよくわかります。私から最後に、とりわけチームリーダーの方に伝えたいのですが、時代の変化とともにリーダーのあり方が大きく変化している中で、従来の延長線上や過去の経験にとらわれずにチーム力の高め方を考えていってほしい、ということです。個々のメンバーが能力を発揮して、チーム全体で掛け算ができるように試行錯誤をしていってほしいと思います。そのためには、リーダーにはぜひ「人間力」を高めていく努力を重ねてほしいですね。

川村:対談の最後にお伝えしたいメッセージがあります。私自身、昇格が遅かったのですが、これは必要な準備期間だったと捉えています。うまく行かずモヤモヤしている時期もありました。今やっていることが有益なのかわからない時もあるかもしれません。過去のつながりが今だと思います。無駄だと思ったことも、実はどこかにつながってくるかもしれない。5年後、10年後になってみないとわからないことがあるのです。「そんな人間も、今日はこんなに元気にやっているよ」というケースもあることをお伝えしたいですね。

住矢:トラブルシューティング以来、久しぶりにじっくりお話することができて、楽しかったです。ありがとうございました。

川村:こちらこそありがとうございました!


(了)

記事情報

インタビューご協力者さま

左:川村さん 右:住矢さん